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あおいくも」 パパの声

あおいくも 作・絵:トミー・ウンゲラー
訳:今江 祥智
出版社:ブロンズ新社 ブロンズ新社の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:2010年06月
ISBN:9784893095008
評価スコア 4.17
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みんなの声 総数 17
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  • 解釈が難しい……

    • はしのさん
    • 40代
    • パパ
    • 神奈川県
    • 男の子15歳、女の子13歳

    どう解釈すれば良いのか、とても迷いました。

    ほかのくもが何をしても気にしなかった小さなあおいくもが、大きくなるにつれ、世界中のことが知りたいと思うようになります。
    ある日、色の違う人間たちが互いに殺しあっているところに出くわします。あおいくもは「決心」して、自分がなくなってしまうまで雨をふらせます。雨にぬれた人々はみんなあおくなり、なごやかにくらすようになりました。

    一読すると、めでたしめでたしのお話なのですが、どうしても気になることが2つあります。

    一つは、みんなが青い人間になったから戦争をやめたかのように読めることです。
    あおいくものなかを通り抜けて青くなってしまった飛行機を掃除している場面からも推察されるように、あおいくもがつけた色は洗い落とせるようです。そうなると、戦争をしていた人たちも、いずれはもとの白や黒や赤や黄の人間に戻ることになります。ですから、人間が戦うことをやめたのは、肌の色が違うことで争うのはアホらしいと気づいたからでしょう。それをきづかせてくれたのが、あおいくもなのです。

    もう一つ気になるのは、なぜあおいくもは自分がなくなってしまうまで雨をふらせたのかということです。肌の色の違いで争っているくだらない人間のために、なぜ自らを消してしまう「決心」をしたのでしょうか。
    「すきなように すきにいきていて、ほかのものが なにをしているのかなんて、ちっとも きにしなかった」あおいくもだからこそ、人間の自由や命を奪う「このひどいやりくちに おどろきあきれて」しまい、そのまま戦わせておくことが許せなかったのではないでしょうか。誰かのためではなく、自分の心が何もしないでいることを許さなかったのだと思います。

    フランスで生まれ、二次大戦中はドイツ占領下で暮らしていたトミー・ウンゲラーのことです。自由の大切さや戦争の悲惨さ、虚しさを知らないはずがありません。
    さっと目を通してしまうだけだと、肌の色が同じになったから戦争がおわり、雲は人間のために自分を犠牲にしたと読んでしまいそうです。そうなると、この絵本の評価は「あまりおすすめしない」になります。でもこのお話は、そういうことを表しているのではないと思います。

    子どもに安易に読んではいけないと思いつつも、実は子どもたちの方がこの絵本の本質を読み取ってくれそうな気もします。どう扱ったら良いのか迷ってしまう一冊です。

    投稿日:2010/08/18

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  • 気になるウンゲラー

    気になるウンゲラーの近作でしたが、期待が強すぎるからか自分にとっては前作の『あたらしいともだち』とともに消化不良の作品でした。
    自由気ままなあおい雲は、他の雲たちの言うこともきかず好き勝手。
    さわったものを青くしてしまうとてつもない影響力を持ちながら、世界のことを知りたいと思ってどんどん大きくなっていきます。
    崇拝の対象になったり、戦争を終わらせる力をもったり、一見素晴らしくも思えるのですが、良く考えると世界を青くするなんて怖いことではないかと思います。
    お話の中で、争い合ったいろいろな民族が一様に青くそまって幸せそうにしているから、子どもは納得かもしれないけれど、ウンゲラーさん発想が少し危険ですぞ。
    ウンゲラーの作品には皮肉がたっぷりで過激な作品が多いので、妙に良い人になって欲しくないのですが、違和感が残りました。

    投稿日:2010/08/26

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  • 心に染み入る作品

    • ジュンイチさん
    • 40代
    • パパ
    • 東京都
    • 男の子12歳、男の子6歳

    「すてきな三人組」で知られるトミー・ウンゲラーの作品。
    初版は2000年で、邦訳は2010年となっています。

    「むかし、
    ちいさなあおいくもがいた」
    という書き出しで始まりますが、この主人公のあおいくもは、他のくもが雨を降らせていても知らん顔で、勝手気ままに過ごします。

    そして、あおいくもが通り過ぎると、飛行機、山、ビルなどがあおく変色してしまうのです。

    そんな自由な暮らしをしていたあおいくもなのですが、下で戦争が起きているのを目にします。
    様々な色の人間を描いているのですが、正に多国間の戦争を象徴しているのでしょう。
    この戦争を止めさせるために、あおいくもが取った行動は意外なもの。
    ここからエンディングに続く部分は、ウンゲラーならではのもので、読後に心がキュンとなってしまいます。

    最初は、割と淡々とした印象を持ったのですが、実はとても深い作品で、一読を薦めたい作品です。

    投稿日:2010/07/10

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