ウクライナは昔話の宝庫だそうです。
それは、人から人へ、口から口へ、伝わったあかしでしょう。
そんな話には、人のぬくもりを感じます。
おそらくこの話もそんなひとつで、日本の内田莉莎子さんが再話の形で文を書いています。
再話というのは、昔話や伝説などを、子供向けにわかりやすく書き直したものをいいます。
内田さんのことを少し書き留めておきます。
1928年生まれのロシア文学者・児童文学者です。祖父は作家の内田魯庵で、莉莎子という名前はモナリザにちなんで祖父がつけたといいます。1997年に亡くなるまで、ロシアやウクライナといった国の昔話の再話や翻訳を残しています。
一方、絵を描いているのがウクライナの画家ワレンチン・ゴルディチュークさん。
日本の絵本画家とはやはりタッチが違いますし、物語の舞台となったウクライナの小さな村の古い家の様子や登場するおじいさんとおばあさんの服装など、私たちの生活とはかなりちがうことがわかります。
そういう時代の違い、国の違いをしっかりととられて、しかし、人々がこういう話に癒された感情は世界どこであっても変わらないということを伝えたいものです。
話はタールを縫ったわらの牛のおかげで、クマやオオカミやキツネを捕まえたおじいさんたちがこれらの動物を逃がしてあげることでハチミツやめんどりなどの豊かなものを手にするというもの。
日本の文学者とウクライナの画家がコラボした、なんとも美しい絵本を私たちは今でも読むことができます。