絵を描いた秋野不矩さんは、浜松市秋野不矩美術館があるくらいの日本画家。
作の松岡 享子さんは、「おふろだいすき」が有名で、沢山の訳があります。
この作品は、1974年が初版で絶版となっていたのを、こどものともコレクション2011 全10冊の1冊として復刊したものです。
日本昔話の一つと思って読んだのですが、松岡享子さんの創作と聞いて驚きました。
それだけ、日本古来の話と思える位の水準の話だということです。
「昔、あるところに、心優しい百姓の夫婦が 住んでいました。
もう、年をとって、あまち働けなくなったので、遠くのところの 田んぼを 人に譲り、今では、家のまわりの畑に、僅かの野菜を 作って暮らしていました」
という文で始まります。
育てたかぼちゃの中に、ひときわ大きいかぼちゃがあったのですが、不思議なことにその中からお囃子が聞こえてきたのです。
中を覗くと、そこには、お囃子に合わせて踊る人の輪が見えたのです。
踊る人達が、かぼちゃの黄色に映える絵は、綺麗という言葉に相応しいもの。
日本画の素晴らしさを充分に堪能できると思います。
話は、お囃子の中心の太鼓が破れてしまうというアクシデントの発生で大きく展開するのですが、その展開にワクワクするのは間違いありません。
エンディングも、こういう展開かと納得できるもの。
小さな世界というと、子供の自分は誰しも憧れるものです。
そんな子供達の想像力を、大いにかき立ててくれることでしょう。
創作絵本というよりも、日本昔話の一つとして捉えたい作品です。
なるべく小さい頃に読み聞かせすることをオススメします。