自分勝手な感情でアイヌの村を吹き飛ばしてしまう風の女神のピタカムイ。
神様でありながら、なんとひどい女なのだろうと思ったりしましたが、アイヌ民族の考え方なのですね。
自然をはじめ、あらゆるものに神様がいて、アイヌの人たちはそれを受け入れ、敬うことを習わしとして
きたのです。
それは自然災害に対しても同じ。
話を見ていて、昨年の大津波を思い起こしてしまったのです。
このお話では、アイヌの人々は災害にあってもまたその地を復興しました。
それなのにピカタカムイはまた腹をたて、再び暴風で村を破壊します。
あまりのひどさに、立ち向かったのはアイヌの守護神のオキクルミ。
ピカタカムイを打ち負かすほどの強さをもった若者でした。
ただ、ピカタカムイが感性の神だったのに対して、オキクルミは理性と思いやりの神でした。
ピカタカムイに激しいお仕置きをしてから、改心をうながして元の姿に戻し、破壊した家も
元の通りにしてあげました。
アイヌならではの性善説。
悪を徹底的につぶすのではなく、改心させる心。
勧善懲悪の多い日本昔話、良い人悪い人を対比させた民話の多い日本とは違った世界でした。
子どもには、なぜピタカムイが許されたのか、少し説明が必要かもしれません。