絵もいいのだけど、この絵本の魅力は竹下文子さんの文章です。
一つ一つは短い文章ですが、温かく優しくテンポがいいので心地がよいです。
今回の『なまえのないねこ』は私達の周りにどこにでもいそうなただの猫の視点から描かれています。名前がない猫は、自分に対していい名前を探しますが、どれもピンとこない。自分の名前探しの途中で「のらねこ」「きたないねこ」と言われ辛そうです。私も近所の猫をのらねこと呼んでいたなと思い出し、なんだか申し訳なくなります。そんな辛い気持ちでいた猫が雨の日に出会った女の子によって、猫は本当に欲しかった事に気づくことができました。
私は、日々の生活の中で「お母さん」や「先生」、「〇〇のお母さん」または苗字で呼ばれる事がとても多いです。この本を読んで誰か名前で私を読んでほしいと思いました。そして名前読んでくれる人がいるって当たり前の事じゃないと気づかせてもらいました。