19世紀のボヘミア(現・チェコ共和国)で活躍した民俗学者・詩人の生誕200周年を記念して、2011年に刊行された。日本語訳版:2017年刊行。チェコと周辺に伝わる民話や詩、なぞなぞなどを、当時の暮らしぶりがよくわかる美しい絵とともに楽しむ民話集。
挿絵を担当している画家は、2002年以降、プラハに在住とのこと。
当時の世界を再現した素晴らしいお伽の世界を絵で表現したのが、日本人だということに驚いた。チェコの人が書いたのかと思った。
民話は、長年生き残ってきただけあって、非常に面白い話ばかり。
何度も失敗したり、思わぬ展開になったり、最後にはハッピーエンドが多いとはいえ、その道のりは山あり谷あり。一筋縄ではいかない。
日本の昔話では出てこない存在や、現地の生活や歴史に由来する物事は、おおよそ絵を見てわかる。昔風の不思議な世界は、絵を見ているだけで、引き込まれてしまいそう。
読み応えがあるので、大人も十分に楽しめる。ヨーロッパの古い教会や、昔の人の衣装、古い壁画のような人物、生き生きとした動物など、見ているだけでも楽しい。しっかりとものを見て、正確にとらえ、丁寧に描写してある。地に足がついたファンタジー。