幻想的なお話です。
クリスマスの夜に、父親が仕事で祝うこともできないという設定に、何か複雑な家庭を想像してしまいました。
お母さんはどうしたのでしょう。
ソフィーはいたたまれなくなって雪の降る街に出ていきます。
心象風景にも思える雪の世界が始まります。
ただただ雪の風景の中で、ソフィーはなんとちっぽけな存在でしょう。
そこにヘラジカが登場して、大きな森に案内します。
いろんな動物たちが潜んでいる世界も、心の中のようです。
数多い木立の中に、ソフィーが一本の小さなモミの木に心を止めたのは、啓示のようなものだったのでしょうか。
それは、少し歪んで飾りも光もなく寂しげに立っていました。
ソフィー自身のようなモミの木です。
でも、ソフィーは森の動物たちとともに、その木をりっぱなクリスマスツリーに仕立て上げました。
父親の登場と、オーロラの登場、無数の星たちに包まれる締めくくりは圧巻です。
ソフィーは孤独感から解放されたのです。
どこからか力が湧いてくるような絵本でした。