【内容】
今昔物語「六宮姫君夫出家語」をテーマにした作品4話を収録。
・「朱雀門」 山岸凉子(マンガ)
・「六の宮の姫君」 芥川龍之介
・「六の宮の姫君がはかなくなる話」 福永武彦
・「六宮姫君夫出家語」 今昔物語(作者不明) ※古典
【感想】
自分の不幸を嘆くだけで一生が終わり、死して尚救われないで彷徨い続ける。何ともうっとおしい話だ。当時の「お姫様」というのは、積極的に人生を切り開いて行く事はしなかったらしい。お姫様を支える召使の女性たちは、逆に何でも器用にできて、教養もあり、身分もそこそこ(家柄もよく)、見た目も良くなければならなかったらしい。この話に限ったことではないが、お姫様のダメ女ぶりと、周囲のキャリアウーマンたちの華やかさが、皮肉なコントラストとなっている。
このお姫様は結局、夫に「捨てられる」(そもそも正式に結婚していないような状況)上、親族や使用人たちにも見捨てられ、最後には衰弱死していく。そこまで転落しても、何故か私はこの人のことを全くかわいそうだとか、同情する気持ちが湧いてこなかった。何もしないで泣いてばかりなのに、良い思いをするのは、虫が良すぎるからだろう。
マンガ作品では、自分の好きなことだけしている人が、他の人を全く認められないことによる弊害に気が付く場面があるが、原作のお姫様は全く気が付かない。芥川作品は、教訓めいたことを最後に付け足している。切れ味の鋭い解釈だと思う。
結局、なにかとお世話されてばかりいると、ダメ人間になって転落していくのが止められないのだ、と私は解釈した。さあ、頑張ろう、言い訳しないで、自分の人生…