小さい子どもの頃に出会っていればなあ…と思う本に出会うことがたまにあります。そうだなあ、「物心ついた頃」という言葉がありますけれども、「物心つかないうちに」出会いたかった、そんなふうに思える本に。
この「まりーちゃん」のシリーズは、まさにそんな絵本でした。きれいな色彩の素朴な絵は、ふんわりやさしくて少々古風な感じです。けれどもこのまりーちゃん、それから彼女の仲良しの白い羊「ぱたぽん」(弾むような、なんて楽しい響きの名前なんでしょう。こんなふうに訳された与田準一さんはすてき!)の考えることやらかすことのかわいらしさは、今の子どもにも共感できて、何十年経っても色あせない力を持っていると思います。
「まりーちゃんとひつじ」でも、この「まりーちゃんとくりすます」でも、まりーちゃんは実にいろいろな子どもらしい空想を展開します。どんどん広がってゆくその小さい女の子らしい夢が、実に子どもらしくてほほえましい! 今年はサンタクロースは自分の木靴に一体何を入れてくれるかしらとあれこれ思いを馳せるまりーちゃん、自分には靴がないようと嘆くぱたぽんのために、小さな木靴を用意してあげました。そして、クリスマスの朝…。
「クリスマス! クリスマス! クリスマス!」 と躍るように鳴り響くぱたぽんのベルの、なんと愛らしいことでしょう。