クラシックな雰囲気の表紙に惹かれました。馬車を急がせるのはお医者さん、心配そうなママとびっくりするほど大きいおなかの子ども、顔は真っ青(実際みどりだけど)です。どんなシリアス?なお話かと思いきや、かなりヘンテコなんです。予想外でした…。
白い切り絵(影絵)が一色の背景にとても映えています。このシンプルさがいいですね。
背景の色は場所ごとに違っています。ママと子どもの家、お医者さんの居間、外、治療室、そして手術室? そこは白い幕の中です。
「ママ、ママ、おなかがいたいよ」と訴える子ども、お医者さんが駆けつけ、こんな病気みたことない、「一こくもはやく にゅういんだ」、おなかの中を調べてみると…
出てくる、出てくる。青りんごからはじまって、バースデーケーキまるごと、やまもりスパゲッティひとさら、つながったまんまのソーセージ、まだまだ続きます。食べ物ばかりじゃないんです。まるでマジックみたい。奇想天外、びっくり仰天!
出てくるものにだけ色が付けられているのが、より一層可笑しさを増しています。
引越し荷物一式といった具合のモノたち、ほんとにおなかに入っていたのかしら、ってほどの多さに大きさ。
お話の最初にママが「だれか わたしのぼうしをみなかった?」と探しています。最後にはお医者さんが「だれか わしのぼうしをみなかったかね?」
犯人はだあれ?
巻末には「このおはなしは、かげ絵しばいにするとおもしろいでしょう」と、具体的な方法の指南つきです。幼稚園や保育園でやってみたらいかがでしょう。いろいろなアレンジが楽しめそうですね。