誰もが知る桃太郎のお話。
でも、今まで、桃太郎目線で語られたことが
果たしてあったでしょうか?
この「桃太郎が語る」桃太郎のお話をはじめて眼にしたとき、
発想の斬新さに感動し、
子供と読むのも待てずに一人で先に読ませていただきました。
我々日本人の常識を覆す桃太郎ストーリー!
鬼が島に鬼退治にいくのに決心したときの気持ち。
はじめておじいさんおばあさんから離れて旅に出た時の気持ち。
誰もが勇ましい桃太郎を心の中に描いている日本の常識の中で、
実は実は心細く思っていた桃太郎を、一体誰が、
これまで想像し得たでしょう?
犬がやってきて仲間ができてほっとした気持ち。
山で実はちょっと迷っちゃったはなし。
鬼と出会ったときは全身ガタガタだった状況。
思えば、たった一人で保護者の元を離れ、
見たこともない鬼を退治にいくのですから、
桃太郎の立場になって考えてみれば、どれもこれも頷けるのですが、
「桃太郎=勇敢=強い」というバイアスがかかっていて、
私自身も、今までただの一度たりとも、
桃太郎の気持ちになって考える ということを、したことがなかったことに
改めて気付かされました。
相手の気持ちになって考えてみよう。
って、大人は子供によくいうけれど、実は全然できてなかった!
この絵本は、それこそ「相手の立場に」なることの、
とっても素晴らしい訓練になるかもしれません。
そして、桃太郎に限らず、それぞれの立場にたったお話が
自分で想像して作れるようになったらそのときが、
本当に相手の立場にたてる人になったということなのかもしれませんね。