息子と駅前の商店街に行きました。息子に「ねえスキップしよう」と言われました。「かいものづくし」にも「すいすい すきっぷ しょうてんがい」という文がありますが、心を弾ませるものがあるのかもしれません。
商店街というと対面販売、人情、小銭のやりとり、必要な物を必要なだけ買ってくるというイメージが浮かびます。
子どもとよく行くお豆腐屋さんでは、商品にならない豆乳ドーナツをいただいたり、「昨日は運動会だったから、今日はお休みなのね」と声をかけてもらったりと常連さんならではの会話ができるのも商店街のよさです。
いしだえつ子さんの前作「ふりかけ」は、数年前大学の研究室に遊びに行った時に、「うちの卒業生の出した本」ということで紹介されました。今回新作が出たことを知り買い求めました。私はお会いしたことはありませんが、いしださんが大学時代から詩を書いておられたということをお聞きしました。
スキップしながら立ち止まって商品をじっと見て、ある店は今日は素通りし、ある店の前では匂いに誘われて立ち止まり「今日は1つだけよ」とコロッケやパンを母に買ってもらう、そんな情景が読みながら浮かんできました。
親は懐かしさに浸り、子どもはスーパーとは違う新鮮さで店の様子を見る、家族のそれぞれで商店街を思う気持ちは違うのかもしれませんが、息子も大きくなって、私と手をつないで歩いた商店街を思い出してくれるといいなあと思います。
文章がリズムカルな感じで、何度も読むと口ずさんでしまいそう、心が浮きたつ感じがよく出ています。絵がレトロな感じで文とマッチしていると思いました。見返しにがまぐちの財布の絵が描いてあるのが心憎いなと思います。確かに、子どもの頃のお財布はがまぐちでした。
身近な物に興味を示して物の名前を覚える2歳ぐらいの子どもでも充分楽しめそうなので、プレゼントしようかなと思いました。また海外に行ったお友だちの子どもにも、日本の情景を忘れないでほしいので、紹介しようと思います。皆さんもこの絵本を読んで、商店街の良さをもう一度思い出し、子どもと一緒に遊びに行ってみませんか?