絵本という限られた容量の中に、これほど真理を凝縮出来た作品に初めて出会いました。
そういう意味で衝撃でした。凄い・・・・
引っ越してきたばかりの主人公。一緒に泳ぎに行く遊び友達が欲しいが、どの子とも気が合いそうにない・・・。友達を作るのが面倒に感じて家に帰ってきた主人公にお母さんが優しく諭す・・・・
日が暮れかけ、一人ぼっちで彷徨う主人公は、他人と何かを共有する喜びがない虚しさからもう一度努力してみようと思い至る。その主人公の心情の変化を、イラストが雄弁に伝えてきます。
他人の個性を頭から否定せず上手に受け入れることで、自分も他者から受け入れられ、世界が広がっていきます。
また、自分より頭がいい子とはつきあいたくない等、主人公の劣等感を絵本らしくオブラートに包んだりせず、正直に描いている点も新鮮さを感じました。
友達との付き合い方に関して、これは子供だけでなく、読み聞かせる大人も初心に帰らせてくれる一冊ですね。この本と出合えてよかったです。
私が子供の頃は、ステレオタイプな友達の概念を表現した絵本しかなく、他人の特殊な個性を受け入れましょうという姿勢は現代的で絵本も進化していると思います。