彫刻家の目線でものを見る体験ができる絵本。長年、デッサンをして木を見つめ続けていると、木の声が聞こえてくるのではないか。この作品はどれも生き生きとして、動いている瞬間をとらえたような印象を受ける。木というのは、植物だから、動かないように見えてしまうが、本当はダイナミックに動いているのではないだろうか。ただ、私たちと時間の流れ方が違い、モノの考え方や感じ方が違うから、私たちには「動いている」とは理解できないだけであって。
絵と共に言葉にも、力がある。研ぎ澄まされ、厳しく取捨選択された言葉が魂に染みこんでくる。じっくり味わって、何度か読み返していくと、良さがずんずんわかってくる。どうして今まで木を見ても、何も自分は感じなかったのか?不思議に思う。木とは、こんなにも積極的にどんどん動いていいっているものだったのか。
木を見に、触りに行きたくなった。