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8件見つかりました
娘が宮沢賢治さんの本で読書感想画を描く、というので、 何冊か一緒に読みました。 このお話を初めて読みました。 「わたくし」が子どもの頃に体験した、博物館に飾られていた剥製の蜂雀が語ったお話です。 こどもの純粋なこころとそれを忘れてしまった大人・・・ お話のはじまりも不思議な感じですが、 読んだ後はどうしようもなく切ない気持ちになりました。 絵を描いているのは降矢ななさん。 大すきな作家さんです。 お話にとってもぴったりで、 さらに切なくさせてくれました。 私はすっかり大人になってしまい、蜂雀の声が聞こえません。 もう少し、ゆとりを持ったら聞こえてくるかもしれません。
投稿日:2016/11/16
宮沢賢治のおはなしは結構読んできたと思っていたのに、このおはなしは知らなかったです。 全集とかに入れられていたら、あまり目を引くことのない短い作品ですが、、こうして絵本という媒体で、鮮やかに描いてもらうと、印象深くじっくり読むことができました。 降矢ななさんのイマジネーションすごいです。 語り部の蜂雀と聞き手の「ぼく」と、蜂雀の語りの中に登場するペムペルとネリの兄妹の世界観がものすごくわかりやすく描かれていました。 絵本のシーンの中ではどれも捨てがたいですが、家の中でペムペルとネリが歌っているのを蜂雀が窓からのぞいているところが一番好きです。 ジーンと物語が体の中にしみこんでくるような感じがありました。 こうしてみるとやっぱり宮沢賢治の描く物語は厚みが違うな〜と、改めて思いました。 とてもいいおはなしです。 小学校の高学年くらいのお子さんたちからぜひ手に取って読んでみてほしいです。
投稿日:2016/11/05
この物語を、初めて読みました。 「かあいそう」と言う蜂雀の口調がなんだか怖く感じ、 どんな話なのだろうと、少し構えて読み始めましたが・・・ 降矢ななさんの、どこか懐かしいような絵の中に引き込まれ いつの間にか、その場所に立っているような感覚になりました。 特に夜のサーカス団の魅惑的な輝きは、そのページを読み会えた後にも余韻が残り もう一度、と、ついめくってしまったほど。 しかし、なんでしょう。 最後は切なく、やるせない気持ちになりました。 お金を最も重要なものと考えている大人たちには、 兄妹の宝物は、何の価値もないものなのでしょうか。 その時の兄妹の気持ちを考えると、 なるほど、蜂雀が口にしていたとおり 「かあいそう」としか言いようがありません。 けれどもなぜか、不思議なことに、 この絵本に出会えて良かったと 心からそう思いました。 とても残酷な物語なのに、繰り返し読みたいと思うのです。 その理由を、いつか分かる日が来るのでしょうか。
投稿日:2014/07/03
町の博物館の、大きなガラスの戸棚の中の一匹の蜂雀の剥製が、ひとりの少年に聞かせてくれたお話です。 ペムペルとネリのお話です。話を聞かせてくれながらも、時々黙ってしまい、時には死んだようになってしまう蜂雀の姿に気が気でならない少年。そして、すべてを察しているおじいさんの存在と、どれもこれも出来過ぎた構図の中でお話が進んでいきます。こんな素晴らしい作品を残した宮澤賢治さん、引き出しにはもっともっといろいろな素材が詰まっていたことでしょう。お話の展開とともに、画面ごとに変わる絵は、まるで画集を観ているようでした。この作品の趣にあった作家さんだと思いました。
宮沢賢治の作品です。 博物館員キュステが、子どもの頃に、剥製の蜂雀から聞いた話ということで物語が進んでいきます。 途中、一部原稿が欠損しており、おそらくその間にペムペルとネリは何らかの理由により二人きりで暮らすことになります。 お金というものを知らないまま、日中は畑を作り、楽しく暮らす二人。 ある時、見たこともない黄色のトマトがなって、それを黄金だと思ってしまったところから、物語は悲しい結末へとつながっていきます。 農学校で学び、教師でもあった賢治らしく、トマトの名前や描写が詳しく、今でこそ黄色のトマトも珍しくありませんが、当時の賢治にとって、黄色のトマトはまさに黄金のように見えたのかもしれません。 その黄色のトマトを色鮮やかに描かれた降矢さんの挿絵もとても素晴らしく、その幻想的な世界はまさに賢治の作品にピッタリだと思いました。 冒頭の博物館の様子、青ガラスの部屋の様子、そしてサーカスの異国情緒あふれる世界・・・ 読み聞かせをして、息子は小さく描かれている蜂雀を探しながら、黙って聞いていました。 読み終わっても、一人で前のページを読み返しながら、降矢さんの描く賢治の世界の余韻に浸っているようでした。
投稿日:2014/07/02
3歳3ヶ月の息子に図書館で借りましたが、 少々難しく感じ、自分のために読んだ絵本です。 「黄いろのトマト」。 題名を聞いた限りでは、最近の作家さんの作品だと思いました。 なぜなら、最近、スーパーでもよく黄色いトマトを見かけるようになったから。 が、宮沢賢治の作品でびっくりしました。 当時、トマト自体もどれだけ日本で食べられていたのでしょうか。 なぜ「黄色」なのか、そして「トマト」なのか、ちょっと不思議な感じがしました。 …そしてやはり、文中でも黄色いトマトはシンボリックに使われていました。 ちょっと異国情緒あふれる…というか西洋もどきの感じのするストーリー。 トマトもそういう雰囲気の中で使われているのですね。 降矢さんの絵が、その西洋もどきの雰囲気をとてもよく醸し出しています。 少し不思議なストーリーにマッチし、少し幻想的。 西洋のものとも日本のものとも言いがたい。 また、文章には色の表現がとても多く、かなり意図的に使われている気がしますが、それを降矢さんの絵が巧みに表現していると思います。 私には…宮沢賢治が何を伝えたいのか、今イチ理解できませんでした。 その、無垢な気持ちを大人に一蹴されてしまう、悲しい気持ちは伝わってきました。 また、文が現在の絵本にはない表現なので、それも魅力的でした。 息子にはもう少し大きくなったら読みたいです。
投稿日:2014/06/23
博物館の剥製の蜂雀の話に、そっと耳を傾ける少年がいました。 それは兄妹二人だけで仲良く楽しく暮らしていた、ペムペルとネリという子どもの話でした。 二人が育てた赤いトマトの中に、一際輝く黄色いトマトがありました。 ペムペルとネリはその美しいトマトを見て「これは黄金なんだ」と、心からそう思いました 私は無知が不幸だとは思いません。 でも、どうしてあんな風に言われたのか 傷ついた理由もわからない それが悲しい 二人の心は傷ついたまま、誰も教えてくれる人がいない それが不幸なのです 蜂雀の声が二人に聞こえないならば、慰めてあげることもできない それが一番悲しいのです いい音の誘惑に胸躍る二人の目には、世の中は楽しくて輝かしいものに見えたのでしょう でもそれは二人の小さな世界にはない、冷たさや非情さも一緒に連れてやって来たのです 少年に蜂雀が言った「ああいうかなしいことを、お前はきっと知らないよ。」という言葉が、頭から離れません。 教育を受けた者にはわからない。 二人はあまりにも、純粋だったのです …後半は可哀想で可哀想で、もう見ていられませんでした。 幼い二人の心が壊れてしまったのではないかと思うと、胸が張り裂けそうです。 剥製になってもなお、二人を忘れられないでいる蜂雀もまた悲しく、そんな蜂雀の苦しみは計り知れません でも蜂雀の声は二人には届かなくても、あの少年には届きました。 あの少年だからこそ話をしたならば、番人のおじいさんがこっそり少年を室の中に入れてくれたのも、全てわかっていたからなのかもしれません。 おじいさんも小さい頃に蜂雀の話を聞いたのか… おじいさんはもしかしたら、ペムペルなのか… 読み終えた後も、ずっとそんな事を考えてしまいました。 未完成のお話ということで矛盾な点などもありましたが、降矢さんの素晴らしい挿し絵に酔いしれながら、ゆっくりじっくり自分の中で解釈し想像しながら読み進めることができました。 悲しくも美しいこのお話が、私はとても好きです できることなら、完成された作品も読んでみたい 私にとって、とても大切な一冊になりました。
投稿日:2014/06/17
絵を描かれたのは降矢さんなので、ワクワクしながら手に取りました。どのページの絵も、深い色あいで、奥行きが感じられました。 仲の良い兄妹のお話。だいじに育てたトマトのなかに、黄色のトマトが実りました。黄金のようなトマトです。 サーカスの代金を、このトマトで払おうとしたのですが、、、。 サーカスの馬やゾウが通り過ぎる場面が、幻想的です。 兄妹が、野菜を育てている表情が楽しそうで、ほほえましいなと思いました。けれど、サーカスの入り口で、黄色のトマトを投げつけられる場面は、むねがいたみます。 文章はちょっと長めで、むずかしい言葉もすこしありますが、わかりやすいお話です。絵をたのしみながら、じっくり読みたい絵本です
投稿日:2014/06/15
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