2008年刊行。恋愛ものの短編から、”はてしない”というキーワードに合うような、途方もない話、不思議な話、はてない想いを描いた話を集めた短編集。
「マッキンレー山の思い出」 星野道夫 『ノーザンライツ』より採録
「黄色い顔」 漫画:JET 『シャーロック・ホームズの冒険2』より
「えすがたあねさま」 日本昔話 (ポプラ社 お話名作絵本)
「きれいな下着」 ゲスタ・ロマノム 『新世界むかし話集5』より
「花図鑑10 世界爺-セコイヤ-」 漫画:清原なつの
「つるばらつるばら」 漫画:大島弓子
一途に一人の人を長年思い続けている様子が印象的な話ばかり。
あちこちよそ見、浮気はなく、迷いもない。
それぞれの状況や時代、職業などは違っていても、一本気なところがすがすがしい。そんな想いが通じてか、奇跡や感動がある。
個人的には、SF風の作品「世界爺」が印象に残った。泥臭い周囲の人たちの世界と、清廉な主人公たちの妙に幸せな世界が同時進行している様子が面白い。これを読むと、同じ時代にいろんな世界を生きる人が、案外近い場所でひしめき合っているのがわかる。
本当に豊かな人は、喧嘩しない。ただ、そんな人場ばかりだと、平和すぎて話が盛り上がらないから、欲の塊みたいな人が出てきて面白くしてくれるのだ。
漫画も多く、小説は読みやすい文字の大きさや行間の新設設計。どの話から読んでもよいので、気楽に開ける一冊。