建物の作品が印象的な青山邦彦さんですが、
これは目覚まし時計が主人公で、時間を体感できる、また違った魅力の作品でした。
町に住み、正確な時間を伝える使命に燃えていたとけいくんは、
ある日、サバンナの草原を走る車から落っこちてしまいます。
でもまだ、目覚まし時計の自負があるので、サイにおもちゃにされようとも、
立派に鳴り続けるのです。
ところがぜんまいが切れて、なんと大きな木の上に引っかかってしまった
とけいくんが感じたこと。
時間というものをじっくり考えるきっかけにもなりそうです。
サバンナの草原と目覚まし時計というミスマッチも、面白いです。
正確さが求められる建築の世界と似通っているのかもしれませんね。
そういえば、町の回想シーンでは、精緻な建物の様子が圧巻です。
やはり本領発揮ですね。
ともあれ、忙しい毎日の大人たちにも、もちろん子どもたちにも、
共感できると思います。