ページを捲るのが怖かったです。というより、嫌でした。だって、捲ったらいつか終わりが来るから。ゆっくりゆっくり読みたいと思いました。時間があるときに読んだほうがいいかもしれません。心に染み込んでくる物語と、絵から伝わる雰囲気ときりんたちの可愛さ、「なきむしこぞう」というタイトルが合わさって、優しく懐かしい印象を受けました。読んでいるときは、膝に小さな自分を乗せて、ひっそり読み聞かせるような感覚。この絵本を読んで、昔、犬のぬいぐるみを出先に忘れていって、夜寝る前に、いないことに気がついて大泣きしたことを思い出しました。そのぬいぐるみはちゃんと戻ってきたのですが、その夜はとても長く感じました。絵本を読んでいると、こんなこと自分にもあったなぁ、と共感もでき、懐かしさにも浸れます。もともと、酒井さんの絵に惹かれて読んだのですが、物語もたいへん読み応えがあり、心に残りなかなか離れないのですが、しばらくすると何回も繰り返して読みたくなります。私のお気に入りに加わった一冊です。