同じシリーズの「きいろいばけつ」が、とてもよかったので、こちらも続けて読んでみました。「きいろいばけつ」同様、ハッピーエンディングではありませんでしたが、にもかからわず、清々しい読後感があり、心の中で、ストーリーが続いていくような感じがしました。
このお話では、「きいろいばけつ」もそうですが、「ばけつ」や「つりばし」をめぐるシンプルなストーリーに、きつねの子の揺れ動く心情が織り交ぜられ、ストーリー自体よりも、主人公の気持ちに重点が置かれています。絵本を選ぶときに、物語のあらすじ、とりわけ結末に視点が言ってしまいがちですが、このお話のように、経過を大事にしている絵本は、子どもも共感する部分が多いような気がします。
私たち親も、子どもとの日常生活の中で、結果だけを重視してしまうあまり、その過程において、十分にほめてあげることを時として忘れてしまいますが、この絵本を読んで、たとえ、つりばしを渡り切れなくても、最初は一歩も進めなかったのが、最後には真ん中まで来れた、という成果を認めてあげて、そこまでの努力と勇気を称えてあげられるようになりたいな、と思いました。
また、子どもだからこそ、「今は、真ん中まで来れただけでいいや」と満足もでき、「いつかつり橋の向こうまで行ってみたい」という希望も持ち続けられるのではないかな?とも思いました。大人は、自分自身で、ゴールを設定したり、限界をつくってしまったりします。「橋の反対側まで行ってこそ意義がある」とか、「来年は、もう○歳だから、再挑戦は無理だ」とか・・・。でも、子どもは、楽しみを先にとっておける心のゆとりがあり、無限の可能性も秘めているのですね。そんなことを感じながら、このお話を読みました。