「こどものとも10月号」
この絵本を見たのは、十五夜、お月見までは少し先のころ、でもこんな絵本を開いたら、もう待ってはいられません。
「おとうさん、おんぶ」って、声かけてくれる子どもはいませんが、病み上がりのワンちゃんをつれて、川土手を歩いて、この絵本のなかの、もぐらさんや、池のまわりで遊んでる、うさぎの家族にも出会えませんが、虫さんのなかよく鳴く声が、きみたちも、ぼくの歌にさそわれてきたのですか、そうですよ、きみたちの声が、ワンちゃんを散歩にでかけさせる、お尻ポンで元気づけてくれているのですから。
川土手に腰掛けて、鮎つり舟の灯りが川面に、小さな丸を映しています。
絵本の親子のように、ごろんと「コタちゃん」をかかえて、草原にたおれてしまいたいです。
コタちゃんは、大暴れです。ぼくはこどもじゃないよ、こんなの好きじゃないんだって。
でも、ほら気持ちいいんだよ。
ぼくらはずーとむかしから、こうして多くの仲間をふやしていったんだよ。
いぬさんや、ねこさんもこうして、ぼくらの仲間になったんだけど。
手をつないで、つきあかりのみちを、おうちへかえる、おやこのように、わたしもコタちゃんのリードをもっておうちへ。
大きなおつきさんが見えて、小さくなって、そんな日がいくつかあって、コタちゃんの首にきみと同じ色のマフラーが捲かれ、これがないと夜の散歩はできない、なんてきみが吠える日が来て、夜の散歩が億劫になる季節になってもいつもいつも、「つきよのさんぽ」は愉しいといえる絵本です。