海の中に生えているテングサが収穫され、加工され、トコロテンや寒天になるまでの様子を、テングサの目線で描いた物語。
2007年刊行。テングサの仲間たちとともに、海女に収穫され、干されたり、煮込まれたりする様子がユーモラスに描かれている印象的な絵本。体が溶けて、一緒に煮込まれたテングサの仲間と合体していくことが、意外と気持ちよい、眠い、という。体を切られたり、煮溶かされたりしたら痛いとか、苦しいとか感じるだろうと思っていたので、安心した。
むしろ、寒天になるために旅立ってく仲間たちとの別れの方が、悲しくて苦しかった。
テングサになった気分を味わえるとは、新鮮な体験だった。
海藻を加工する様子が、絵と物語で簡単にわかるように設計されていて、親しみやすい。農文協の絵本だと、たくさんの文字で説明するページがあったりするが、これは物語と絵が中心。目で見てわかるのでやさしい。