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西風号の遭難」 みんなの声

西風号の遭難 作・絵:クリス・ヴァン・オールズバーグ
訳:村上 春樹
出版社:河出書房新社
税込価格:\1,656
発行日:1985年
ISBN:9784309260716
評価スコア 4.53
評価ランキング 7,211
みんなの声 総数 16
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16件見つかりました

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  • 幻想的な物語

    オールズバーグ の作品はどれも不思議な感じがします。
    感動とも面白いというのとも違う、魔術の中に取り込まれたような、夢を見ていたような読後感。
    高い丘の上にあるヨットの廃船。空を飛んでここに落ちたと言うのです。現実離れしています。
    読み終えてみると、話をしてくれた老人がヨットの持ち主であるようです。
    ヨット操縦の腕が自慢で、荒海に船を出して遭難。それから、空飛ぶヨットのある世界に入り込みます。
    SFのようで、妙に現実に近い風景。だからこそ化かされたような気になってくるのかもしれません。
    登場するものは極めてシンプルです。

    夕食後の読み聞かせに良いかも知れません。
    大人だったら、ゆったりと食後酒を召し上がりながら。

    投稿日:2009/12/26

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    1
  • 浮遊するヨット

    • レイラさん
    • 40代
    • ママ
    • 兵庫県
    • 男の子14歳、男の子11歳

    丘の上に横たわるヨットの残骸。
    傍らの老人が静かに風変わりな話を語ります。
    西風号というヨットが遭難し、乗っていた少年は不思議な光景を目にするのです。
    それは浮遊するヨット。
    船乗りとしてのプライドで、少年はその操縦法を教えてもらい、
    西風号を飛ばせることに成功するのです。
    ヨットの名前が西風、この風が物語を操縦します。
    浮遊するヨットの幻想的な光景が目の前に広がってきます。
    映画館のスクリーンのように、効果音も聞こえてくるようです。
    そして、いつものように、味わい深い余韻が読後を包みます。
    高慢な少年の行く末をどうとらえるか、なかなか哲学的です。
    彼の生き方を評するのは複雑です。

    投稿日:2007/11/12

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    1
  • あの老人は多分…

    • たれ耳ウサギさん
    • 40代
    • ママ
    • 群馬県
    • 女の子16歳、女の子14歳、女の子12歳

    またまた何ともいえない不思議な読後感を期待して、オールズバーグの作品に手を伸ばしてしまいました。

    海を見下ろせる高い崖の上に、小さなヨットの残骸。
    どんな高波が来ても、乗せることができないであろうそんな場所になぜヨットがあるのでしょう。
    ヨットのそばにいた老人が語る伝説とは。

    オールスバーグの絵ですので、技術的には素晴らしいのです。
    が、抑えられた色調の海・空・雲・夜、どのページをめくっても、その風や空気を感じることができても、私には生気が感じられず、それが逆に不気味さを増して迫ってきます。

    期待した通りのもやもや感が残りました。現実なのか、異次元の世界なのか、単なる夢の中の御伽噺なのか…

    夏休み中にヨットを眺めながら読む、なんていうのもおつかもしれませんね。

    投稿日:2007/08/01

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    1
  • 少年のその後は?

    海を見下ろせる高い崖の上に小さなヨットの残骸が横たわっています。
    ここまで波がくるとは思えないほどの高い崖の上になぜヨットの残骸が?
    不思議に思っていると、そばにいた老人が風変わりな話をしてくれた。
    それは「西風号」というヨットを巧みに操っていた少年の話。


    ページをめくるたびに、西風号の遭難の秘密が静かに語られていくのですが
    まるでそのまま時がとまってしまったような、やわらかな空気を感じたり
    反対にその少年のその後は一体どうなってしまったのか?
    と不安になったりで、最後まで目が離せません。
    そんなところがオールズバーグが作り出す作品の
    おもしろさであり、魅力なのでしょう!

    誰もが不思議な『西風号』にで会えるこの作品。
    みなさんも一緒に航海へ出かけてみませんか?

    投稿日:2007/05/26

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    1
  • 空を飛ぶヨット

    • ムースさん
    • 40代
    • ママ
    • その他
    • 男の子9歳、女の子4歳

     高い崖の上に横たわる小さなヨットの残骸。なぜ、こんな崖っぷちに遭難船が? 主人公が不思議そうにヨットを眺めていると、一人の老人がその理由を語ってくれた。昔、ヨットの操縦のうまい少年がいたが、少年はある日、西風号に乗り遭難してしまう。浜辺に打ち上げられた少年は意識を取り戻し、助けを求めに歩き出したが、そこで彼が見た光景は海上の空中高く浮かぶヨット二隻だった……。
     空を飛ぶヨットというファンタジーが、オールズバーグの洗練されたパステル画と村上春樹の美しい訳で、気品あふれる翻訳絵本となりました。コンビがコンビということで、完成度が高いです。
     米国に住んでいて感じるのですが、職業以外でボートとかヨットを所有することは、社会的に豊かな階級層でないとできないことです。そんな理由から、港街に住んでいながらも、そのようなものとはまったく縁のないわたしににとってこの作品は夢物語、ため息ものでした。
     オールズバーグは、映画にもなった「ジュマンジ」(ロビン・ウィリアムズ主演)の原作者。大学で最初は法律を学び、美術への道は後で選んだとか。今は芸術大学の教授ですが、「カルデコット・メダルを受賞したクリス・ヴァン・オールズバーグは、絵本の世界に出現した、モーリス・センダック以来のもっとも才能豊かなアメリカのアーティストである」と解説されています。
     それと明らかに村上氏の詩的な邦訳が、この絵本の魅力を倍増させていると思います。文章(短編)として読んでも十分楽しめます。(それほど描写が的確できれいです。)よって、対象は中学生以上でしょうか。漢字がちょっと難しいけど小学生高学年でもいいかな……、高校の教科書に載っていてもおかしくない……、などどいろいろ思いました。息子は(多分、ほとんど分かっていなくて)「難しい……」と感想を漏らしましたが、「ジュマンジ」の作者と同じだよと話したら、とたんに目を輝かせていました。原題は「The Wreck of the Zephyr」。絵を眺めるだけでも、潮風に吹かれる気分に浸れます。

    投稿日:2003/08/29

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    1
  • 読み返してしまう一冊

    小学生の時の教科書でこの本に出会いました。
    日本ではあまり見ない色使いと、構成の面白さに惹かれて一度でとても気に入りました。教科書には時々ハッとさせられる面白い物語が取り上げられているので、気に入ったものは今でも何冊か手元に残しています。この本も特に印象深いもので折につけて読み返しました。
    だいぶ大きくなってから気付いたのですがこの本の訳者は村上春樹さんなのですね。この本が伝える異国の雰囲気を感じ取れ構成を理解できるには小学生の高学年くらいになると思いますが、この頃に良い本にたくさん出会っておくことは人生の財産になると思います☆

    投稿日:2002/10/23

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    1
  • まるで映画みたい

    • まことあつさん
    • 30代
    • ママ
    • 新潟県
    • 男の子6歳、男の子3歳

    絵本にっぽん賞受賞作品ということで読んでみました。

    クリス・ヴァン・オールズバーグさんの作品はどこか
    浮世離れした感じで、幻想的なイメージが心地よく、
    今回もヨットが空をとぶという
    まるで映画みたいなお話で面白かったです。

    ただ、6歳の息子はおじいさんと少年が結びつけれず、
    「このおじいさん誰?」「男の子はどうしたの?」
    と、少し理解しにくかったみたいですが、
    それまでのお話が面白かったから
    どうなったか気になるんでしょうね。

    投稿日:2019/02/12

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  • 不思議な魅力

    幻想的で、なんとも不思議なお話でした。静かだけど、ひきこまれます。最後まで読んで、やっぱり不思議で、何度も読み直しました。オールズバーグの絵本はどれも幻想的で、不思議な魅力にあふれてるなあ、と改めて思いました。色がきれいで、素敵な絵も素晴らしかったです。

    投稿日:2018/10/31

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  • 大人向けのファンタジー

    • じっこさん
    • 30代
    • ママ
    • 東京都
    • 女の子5歳、男の子2歳

    不思議なところにある船。その謎をおじいさんが語り始めるところから、物語が始まります。
    落ち着いたファンタジーという感じです。絵は派手ではないのですが、色合いが美しいです。
    オールズバーグさんのお話は幼稚園の子どもには少し早いかなという感じなのですが、これは船が空を飛んだりするので、少しおもしろさがわかりやすかったようです。オチはわかったいないと思いますが。

    投稿日:2017/06/23

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  •  翻訳者が小説家ということであれば、それがたとえ絵本であれ、小説家は絵本につけられた文章が気にいったのだと思いがちだ。
     そういうこともあるにちがいないが、この絵本に限っていてば、翻訳者の村上春樹はショートストーリー程度の文字数をもった文章が「極端に言ってしまえば、字が一字もなくてもこの絵本は成立してしまう」とまで、「あとがき」に書いている。
     もし、字が一字もなくなれば、翻訳者は必要なのだろうか。
     村上春樹は翻訳者としての自身の存在さえ消えてしまっていいと言っているのに等しい。
     それくらい、村上春樹はC.V.オールズバーグの絵に魅了されたということだ。

     表紙の折り返しにニューヨーク・タイムズの批評が掲載されている。
     その中で、「浮揚するイメージはマグリットのそれに匹敵する」とある。
     マグリットというのは、20世紀を代表するシュルレアリスム画家のルネ・マグリットのことだ。
     空に浮かぶ巨大な岩とか、鳩のからだに青空が浮かびあがる絵とか、誰もが一度はマグリットの作品を目にしたことがあるにちがいない。
     ニューヨーク・タイムズはC.V.オールズバーグの絵がそのマグリットと同じくらいの価値をもっているというのだ。
     たしかにC.V.オールズバーグの絵の巧すぎる絵にはなんともいえない肌ざわりがある。
     落ちつかない色づかいといっていいかもしれない。
     ましてや、この作品では海に浮かぶべきヨットが空に浮かぶのだという。
     そういう空中でのありさまが、巧すぎる絵全体を不安にさせているといっていい。
     そして、その不安感、それは重心のなさともいえる、は現代社会に生きる私たちの心のありようだともいえる。

     村上春樹は「オールズバーグの絵は我々にひとつの風景を示すと同時に、その風景を通じて我々自身の心の扉を内側に向けて押し開いている」と書いている。
     そういう絵がもたらすものに村上春樹が共鳴したとすれば、村上春樹の作品もまた「心の扉が内側に」開くことを目論んではいないだろうか。

    投稿日:2014/09/07

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