終戦後、中国の中を400キロも歩き続け、やっとのことで日本に戻ってきた兵隊さん。
体を治すために入院した病院には、長崎原爆を被災した子供たちがいました。
兵隊さんの戦争の思い、戦友への哀悼の気持ちと、自己からみる子どもたちの悲惨さの描写に心打たれます。
元気に見える子どもたちですが、自分の運命を知っているのでしょうか。
風呂場で倒れた兵隊さんをみんなで病室に運んでくれたり、一緒に遊んだりして心通い合ったと思ったのに、退院の日には顔も見せなかった。
後になって振り返り、子どもたちの気持ちを思いやる兵隊さんの心はとても重く響きます。
父親の運転するSLを一緒に見に行ったこと。
待ちわびた機関車が通り過ぎるときに鳴らした汽笛を、生きることへの励ましだと信じようとしている子ども。
説教口調ではない情景がとても悲しい。
絵本の中の断片の一つ一つが戦争に対する憤りで尖っています。
繰返し読むことに心に突き刺さってきます。