流れるような文章、自然描写のこれほどまでの美しさ。
あたたかいストーリー。
言葉ひとつひとつを選びに選んで、本当に丁寧に書かれていると思います。
そこに、繊細で美しくあたたかい色合いの挿絵。
絵から与えられる印象をすごく気をつけられているように感じました。
そして、それが、全体を流れる母ぎつねのきめ細かい優しさに通じているようで、本当に素晴らしい作品です。
純文学に近いような表現があるので、4歳の娘には、理解出来ないかもしれないと思ったのですが、「まぶしくて目に何か刺さったように思えた」も「樅の木から雪がなだれ落ちた」のもきちんと理解できるようでした。
8歳の息子は、最後の母ぎつねのつぶやきの意味が分かって来ているようでした。
私は、小さい頃、どうしてこんな解答つかずの終わり方をしているのか理解できませんでしたが、
母になった今は、分かる気がします。
話の内容のすばらしさもありますが、
日本語の表現の奥深さや美しさを知ってもらう為にも、
是非多くの子供達に読んでもらいたいと思います。