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虎落笛」 みんなの声

虎落笛 作:富安 陽子
絵:梶山 俊夫
出版社:あかね書房 あかね書房の特集ページがあります!
税込価格:\1,540
発行日:2002年12月
ISBN:9784251009340
評価スコア 4.25
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  • 自然に対する畏敬

    身近に竹林や自然がない人も、山を歩いているときに吹いてくる風が時折何かを言っているような気になることはあるでしょう。
    虎落笛は、町でも静けさの中で、風が作り出す音のことも言うようですので、そう考えると共感できる人は多いかも知れません。

    男の子が凧をあげに原っぱに向かう途中です。
    竹林や自然の中を駆け抜けてくる風がいろいろな叫びに聞こえます。
    それがだんだん迫ってきて、男の子は怖くなってきました。
    風が作る叫び声は、虎のイメージになり、自分を追い立てる言葉に変わります。
    実際に男の子の頭の中では、虎が走りすぎ、それを追う虎狩りの兵士たちが駆け抜けていきます。
    絵とお話、風の作る言葉がみごとにマッチしています。

    スリリングな一人芝居ですが、誰もが身に覚えのある風のマジック。
    男の子の緊張感と、空耳のはずの声が本当に実感できて素晴らしい作品です。
    聞いている子どもたちを包み込んでしまう魔力を感じました。

    投稿日:2010/12/04

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  • 不思議な絵本。

     昔話風の絵と、聞きなれない題名に引かれて図書館から借りてきました。梶山さんの絵が大好きな私は、待ちきれずに息子より先に読んでみて、きつねにつままれた感じがしました。とっても不思議な本です。

     息子も手にとって静かに読んでいました。読後に、「不思議な本だね」と一言ポツリの言いました。

     冬の風の強い日にたった一人で竹林を抜けるのは、大人でも気持ちのいいものではありません。そういった状況の中で、主人公の少年がはらっぱや竹林の葉のすれる音や風に揺られる情景から、不思議な体験を目撃したのだと思います。

    投稿日:2010/12/02

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  • 日本人の粋

    ある風の強い冬の日、男の子が凧をあげようと道をゆくと 「きょうの虎ぁでえかいぞー」と声がしました。
    周りを窺うと鉄砲を持った兵士が虎を狩っていました。その声がだんだん近くなり、藪が揺れます。
    冬に木々を揺らして吹き荒れる冷たい風を虎落笛(もがりぶえ)といいますが、その風が迫り来て少年を追い越してゆくまでを虎になぞらえて文章に起こした見事な作品。


    絵と文章が見事にマッチしていて、虎落笛を知らずに読んだ私にもそれが冬の強い風が鳴らす音なのだとすぐに理解できました。
    臨場感あふれる虎、そして去り際の虎(風)の言葉が作者らしくていい。なんだか冬の冷風が好きになりそう、そして楽しめそう。そんな季節の楽しみ方を子供にも贈りたい。そして引き継いでもらいたい。
    寒いだけでなんでもない風に こんな呼び名をつけてしまう日本人て、やっぱり粋だなぁ。

    投稿日:2006/04/14

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