身近に竹林や自然がない人も、山を歩いているときに吹いてくる風が時折何かを言っているような気になることはあるでしょう。
虎落笛は、町でも静けさの中で、風が作り出す音のことも言うようですので、そう考えると共感できる人は多いかも知れません。
男の子が凧をあげに原っぱに向かう途中です。
竹林や自然の中を駆け抜けてくる風がいろいろな叫びに聞こえます。
それがだんだん迫ってきて、男の子は怖くなってきました。
風が作る叫び声は、虎のイメージになり、自分を追い立てる言葉に変わります。
実際に男の子の頭の中では、虎が走りすぎ、それを追う虎狩りの兵士たちが駆け抜けていきます。
絵とお話、風の作る言葉がみごとにマッチしています。
スリリングな一人芝居ですが、誰もが身に覚えのある風のマジック。
男の子の緊張感と、空耳のはずの声が本当に実感できて素晴らしい作品です。
聞いている子どもたちを包み込んでしまう魔力を感じました。