大人のための哲学的なユーモア絵本、なんていう印象を持ちました。
メッシェンモーザーさんの作品は、『リスとお月さま』で夢中にさせられましたので、こちらのデビュー作品も読んでみました。
一羽のペンギンが空から落ちてきた。
ペンギンが飛べないことは、このペンギンも解っていたが、『一羽の鳥になりきってやれば飛べる』と思い込んで飛んだ。
飛んでいる途中、ほかの鳥たちに出くわした。
すると、『自分はやっぱり飛ぶようにはできていない』という思いが頭をもたげた。
そして、あえなく墜落。
ここまで読んで、自分にも思い当たるような事が、かつてあったような気がします。
一人夢中で何かになりきっているのだけれど、冷静に周囲を見回すと、とても自分が無能のように思われて落ち込んでしまうような事。
“友がみなわれよりえらく見ゆる日よ ・・・”の啄木の短歌ではではありませんが、とっても共感できました。
さてここからが、メッシェンモーザーさんの絵で訴えるユーモアシーンの数々。
このペンギンを引き取った主人公の男の人とペンギンの、飛行研究が始まります。
航空力学テスト・耐久能力テスト・専門書を読破etcどのページでも大人気なく大笑い!
ラストの解釈として、このペンギンの試行錯誤の後の自信と、仲間集団の思いがけない雄姿に勇気付けられ、ハッピーエンドとなっているのかなと思いました。
皆さんは、このラストをなんと解釈しますか?