この本を初めて読んだのは30年以上昔。
当然自分は親ではなく、主人公の秀一に自分を重ね、自己主張と親を批判の目で見る世代でした。
父母がいるから自分たちがいる。
だけど、好きで生まれてきたわけじゃない。
自分たちって何なのだろう。
親の言うことって自分たちの都合に過ぎないんじゃないか。
結構、生意気で扱いにくい息子だったような…。
この本は、子どもたちの自立、家族の不安定さを真正面から描いています。
崩壊しかけた家庭の中で、親に対する憐みさえ感じさせながら、社会見る目を育てていく話です。
今、自分自身が親の立場として、子どもたちからそんな目で見られる立場になってしまいました。
自分たちは壊れていないか?
家庭としてほころびはないか?
…。
しかし、家族が成長するためには、ほころびや傷は必要かも知れない。
などと感じ入って読み終えました。
大人として読んでしまいましたが、あえて成長期の子どもたちに自分たちの目線から読んでほしい本です。