山形の貧しい山村を題材にした、明治維新当時のお話です。
貧しい山村では、武士の社会が終わって暮らしが楽になるのかと思ったら、暮らしは苦しくなるばかり。
おまけに自分たちの山を権力の所有にされてしまいました。
そのまま山の木を伐採していたら見つかって長次郎は囚われてしまいました。
仲間の名前を明かさぬために拷問にあった長次郎は、出所したら村では阻害されてしまいます。
言いようのない重いお話ですが、これは実在の人物を題材にした本当の話。
この絵本の救いは題材になった七つ森の村が祭り好きで、世直し一揆でも祭り姿で参加するような村であったことと、中でも長次郎がとてもユーモアと男気のある人物だったこと。
それでも、貧しさのゆえに一家は近くの村民家族とともに北海道に開拓移民として旅立ちます。
苦難を祭りで乗り越えていくところがとても感動的です。
今、自分たちが生きている社会は、そうした過去に築き上げられたものだと理解しなければいけない。
残念ながら絶版のようですが、自分たちの時代をさかのぼるお話って、子どもたちにとってとても重要なのではないでしょうか。