長谷川義史さんと言えば、「おへそのあな」「てんごくのおとうちゃん」等の作品で、心が熱くなった記憶が鮮明に残る作者です。
今回の主人公は、じゃがいものジャームス。
家族 親戚 みんなで北国から八百屋さんにやってきたという設定です。
ところが、土曜日の朝、父さんのジャックが山田さんの奥さんに買われていってしまうのです。
「とーさーん さようならー」
「ジャームスー げんきでなー」
かなしいはなしです…。
と描かれ、家族はみんなこんな風に買われていき、その都度「かなしいはなし」ですとあるのですが、この言い回しが、何とも楽しいもの。
最後に、僕 ジャームスも青木さんの奥さんに買われていきます。
そして、月曜日の何処かの幼稚園のお昼に、園児達がお弁当をあけると、何と、ジャームス達みんなが、おかずになって再会するのです。
めいめいが、自分が調理されたものを誇りに思っているようで、楽しい場面です。
みんなじゃがいもが好きなんですねと結んでいるのですが、食育にも役立ちそうな話です。
それにしても、この物語の展開といい、そのネーミングを含めた言い回しといい、とても愉快。
きっと、子どもを虜にすること間違いありません。
それに、八百屋の親父が東スポを持っていたり、魚屋では、イカが逃亡しようとしていたりと、小技もあって、全体的に纏まった作品だとお思います。
文句なしに楽しい作品としてオススメします。