この絵本に出会ったのは、中学生の時。
子供ながらに、「奥の深い本だな」と思ったのを覚えています。
その後、仲のいい友達に
「この本、絵本だけどちょっと読んでみたら?」
なんて、ちょっと大人ぶってみたり。
先生に、「今まで読んで一番面白かった本は?」と聞かれて
「この本です」と答えたり。
テツガクぶってみたかったんでしょうね。今思うと赤面です。
無償の愛の描かれた、この本。
年を取り、もう一度読んでみました。
なんだか、つらいんです。痛々しくて。
これでいいの?と聞きたくなってしまうのです。
子供にも読んで聞かせようと思っていたのに、
それっきり、この本は私の本棚にしまわれたままです。
私がもっと年をとったら、
やっと、しみじみと、かみ締めるように、
「この絵本は素晴らしい」といえるような気がします。
息子はいつか、本棚から、この本をとりだすかもしれません。
かつての私のように、「すごい本だ」といいながら、
自信満々に、友人達に話すのかもしれません。
そうなったのなら、私は黙って見守りましょう。
彼とこの本が、どういう付き合いになるのかを。