戦争は物や命を奪うだけでなく、人の心もむしばみます。
傷つけあい、憎しみ合ってきた過去を簡単に変えることは難しいかもしれませんが、こうした小さな交流から、互いの文化に触れ、相手の心が見えてくることもあると思います。
この絵本は「日・中・韓 平和絵本」シリーズの1冊です。
このシリーズは、中国と韓国、それに日本の絵本作家さんたちが絵本を通して手をつなぎ、作成されているものだそうです。
ですので、当然各国出版社も手をつないでいます。
日本での出版は童心社。中国は訳林出版社、韓国は四季節出版社で共同出版しています。
まずはそれぞれの国の出版社や絵本作家さんたちが手をつながれたことが、何より素敵なことに思えました。
内容は、中国の「チン・ホアイ・ホー」という地域で活躍していた京劇の劇団が日本軍の南京進軍により活動できなくなってしまったというお話で、
10歳くらいの女の子の目線で、京劇の素晴らしさや華やかさ、
その後、突然襲ってきた戦火のために町も劇団もめちゃめちゃになってしまったことが語られていました。
作者は現在中国の芸術学院の教授や早期教育センターの美術顧問などをなさっている方で、1コマ1コマとても丁寧に美しく描かれていました。
特に主人公の女の子がヨウおじさんの京劇を見に入ったシーンは素晴らしかったです。
見ごたえのある作品です。
小学校の高学年くらいのお子さんたちからいかがでしょうか?