この絵本、開いてみて、思わず「私には無理…」と思ってしまいました。
歌は好きです。でも、それは、誰も聞いちゃいないと思っているから歌えるのであって、
絵本の読み聞かせとなると、しっかり聞かれてしまうわけです。
うわあ〜そんなの無理! 絶対!
しかし、家にはいました。カラオケ大好き、人に聞かせるのも大好き。
カラオケで、知らない女の子を感動させて泣かせた事がある、と二十年も前の事を、鼻の穴を膨らませて語る人。
うちのつれあいです。
絵本を読み聞かせると、関西弁でもないのに関西弁になり、セリフもいきなり吉本新喜劇風にすりかえられて、ツッコミやボケが入るので、
滅多に彼に読み聞かせなどはさせられませんが、
この絵本は、まさに彼の為にある絵本。それでは、はりきって、読み聞かせ、やっていただきましょう!
案の定、ノリノリ。前説も、それっぽく。序曲までわざわざ付け加えてもちろん、フルコーラス歌います。
「んもー! お父さん、うるさい〜」
「なーにがうるさいねん。お父さんのこのすばらしい歌声をきかんかい!」
「絵本に、そんな字、書いてないよお〜」
「無くても歌ったるねん」
「やめて! 僕が歌うんだから」
「神田川なんか、お前が知っとるはず、ないやないか」
息子、絵本をひったくって、でたらめに歌いだします。
「ぼくね〜二番も歌う」
「二番書いとらへんやろ。どれお父さんに貸してみなさい」
「やだ! 次は十番。怪獣が出てきてえ〜○×△☆〜♪」
「なんで神田川に怪獣が出てくるんじゃ!!もうええわ、津軽海峡冬景色じゃ」
「ぎゃはは、変な歌あ」
「誰がヘンなんじゃ、誰が!」
えー、君達はいったい何をしているんですか?
とても、絵本の読み聞かせとは思えない光景が、私の目の前に広がっていたのでした。