舞台劇を絵本にしたものと知ってナットクです。
少々荒削りに思える絵が、舞台上の演劇をメリハリある形で表現。
長時間の台本から絞り込まれた骨格を数少ない絵とページで表現。
泥かぶらと呼ばれ、人から蔑まれた女の子が、誰からも好かれる心美しい女性に変身していく過程に、心揺さぶられるパワーを感じました。
孤独で、人から蔑まれ、心荒々しく反発していた女の子が、旅の老人に自分をさらけ出し、自分の悲しみつらさを訴えたこと。
自分を開放することで「ジョハリの窓」を拡げていったこと。
そこに、自分に対する救いの言葉がありました。
「自分を恥じないこと、笑顔でいること、人を思いやること」の3つのこと。
これは「自己肯定」、「他者肯定」と「物事に良さを見つけること」と、人生読本のような教えでしょう。
実践することは難しいけれど、泥かぶらはそのことに自分を賭けました。
その間の苦労は省略されているけれど、嫌なことより、良いことが自分の心に拡がってきたとき、自分の生き方に楽しさを見つけた泥かぶらでした。
それは、悪人さえも改心させるほどの優しさになりました。
お話しは余韻をもって終わります。
舞台も人の心を揺さぶるからこそ、演じ続けられているのでしょう。