戦争と動物たちの話に犬や馬や家畜は出てくるけれど、猫の物語は初めてのように思います。
オランダでクリスチナの家族に飼われていた、猫のレイモンとフロラ。
一家がドイツ兵に収容されたために、アパートに取り残されることになりました。
収容所に送られた人のことと一緒に考えるのは軽薄ですが、飼い主を失った猫はこのように生きたのだろうと考え込みました。
収容所から、生き残ったお母さんが帰ってきました。
家族は失ってしまったけれど、かつての飼い猫が生きながらえていることに心を安らがせました。
この絵本のお話は、その後の猫の話にまでつながります。
飼い主を亡くした猫たちのために、猫の船という施設がつくられたのです。
飼い主を失って生きていくことができない猫のための施設です。
福島原発事故のために多くのペットたちが置き去りにされました。
かつては三宅島から島民全員の避難退去などというものもありました。
ペットや家畜はどうしても置き去りにされてしまうのです。
この絵本から、残念ながら戦争の悲惨を読み取ることは難しいように思います。
しかし、ペットたちのための平和ということについては、考えさせられます。