タイトルの「発電所がねむる」って何だろうと思いながら読みました。
発電所は原子力発電所のこと
ねむるというのは、稼働を終えた原子力発電所が停止状態のたとえのようです。(あとがきには「廃炉作業中」とありました)
物語は架空のようですが、原子力発電所は実在するもので
そして今は、新原子炉による、再開発プランまであるようです・・。
何かの資料で、2000年初頭に廃炉作業に入った原子力発電所の
解体完了の目途が、2120年と記載されたものを見たことがあります。
福島原発にしても、その廃炉の道のりは、技術とともに未知数です。
本作の中での
「用済みになった、放射能に毒された建物は、コンクリートの墓で覆っておくしかない」という、言葉が
とても重く響きます。
原子力発電は、CO2を出さないなどといったある側面では魅力的な技術なのかもしれないが
廃炉のことを考えると
今の人間には、制御しきれない「過ぎた技術」なのかもしれないと思わされました。
失ったものは取り戻せないけれど
失ったものかに学ぶことはできる・・・
おだやかな自然の描写とともに
人々に何かを突き付けてくるような一冊です。