しみじみと、ゆっくり噛みしめて、味わいながらよむ本、というかんじがします。
この絵本は、まず絵が秀逸です。
ジオジオが、老いていくさまが、読み手によく伝わります。
若い頃は、ただ、他の動物を追いかけていた。
誰もが彼を恐れ、近づこうとしない。
しかし、たてがみに白髪がまじり、目がよく見えなくなった時、
彼は、だれかと話がしてみたくなります。
そんな時に彼の前に現れたのが、卵を失くした灰色の鳥でした。
おそらく、若かりし頃の彼なら、鳥の言葉に耳を傾けようとはしなかったでしょう。
しかし、死に向かいつつある時になって初めて、彼は自分以外の存在を意識したのではないでしょうか?
年をとるということ。
しかし、それは、悲しいことばかりではない。
こんなに、なきたくなるような、心がじわりと温まる瞬間もあるのです。
この絵本の意味は、幼い子供にはおそらく理解できないでしょう。
でも、何度でも読んであげたい。
そして、彼が大人になった時、そして老いた時。
一瞬でもいい、この絵本の事を思い出してもらえればいいな、と思いました。