東日本大震災の時に失われたのは、人間の命だけではない。
ペットや家畜の命も多く失われていったのだ・・・と改めて痛感させられるお話でした。
海に流されたペットは、人間と違って捜索してもらえない。
見つかっても引き上げてもらえない。
人間優先でしょうから、仕方ないかもしれませんが、日々一緒に暮らし、愛情を注いできた飼い主さんからすると、本当につらいことだったでしょう。
そんな気持ちに寄り添うように、チョビは飼い主のたえちゃんのもとに戻ってきます。
読み進めていくと、大人なら、チョビの運命がどんなものだったのかを読み取ることが出来るのですが、一緒に読んでいた息子にはなかなか分からなかったようで、「チョビはそばにいるのにね」と不思議そうでした。
けれどそれはまさに、この本の描いている情景そのもので、見えないけれどそばにいる、そんな感じでした。
見えないけれどそばにいるよ。
その気持ちがあふれ出る、哀しいけれど温かな、そんなお話でした。