赤羽さんの描く日本の昔話の世界は、本当に魅力的です。よく聞き慣れたお話でも、赤羽さんの筆の魔法にかかったように、味わい深い作品に生まれ変わります。このお話も、とても短いのですが、子どもが何度も聞きたがるほど、不思議な魅力にあふれています。
鬼が出てきて、「めだまぁ よこせっ」と言う場面では、娘もハラハラしていましたが、大工が山奥で聞いたこもりうたに、すぐさま「おかあさんだ!」と、うれしそうに言いました。山奥で待つ子鬼がいたのか、あるいは、山や大地の大いなる神なのか・・・いろいろな解釈ができると思いますが、娘は、「おかあさんの子守唄」と思ったようです。
そして、1番の盛り上がりは、大工が「おにろく」という名前を言い当てる場面。じらして、じらして、笑わせて・・・最後に、「おにろくっ!」と答えた、そのページの絵が、最高に面白い! 娘も、鬼がひゅるーんと小さくなって消えていく姿を真似して笑っています。