(一度読んだことのある絵本でも、その作家さんをより知ることで
後からその絵本を好きになることってありますよね。)
小さな“あり”が野原で見つけた“すいか”を、苦戦しながらも
巣に持ち帰るというストーリーで、一糸乱れず列をなして“すいか”を
運ぶ様子はシルクロードのように果てしなく壮大な感じさえあります。
また“すいか”を食べ終わった後の“へた”の使い道も見ものです。
ありの巣の内部を描いたページでは、各部屋の役割と担当“あり”の様子がまちまちで、
意外にも靴職人がいたり、虫めがねを使って料理するコックがいたりと
ほぉーとうならせる発見があって楽しいです。
とりわけ気になったのは“たからもの”と書かれた部屋にある
ビールの王冠と5円玉。
ビールの王冠は、絵本“めっきらもっきら どおん どん”でも
“たからもの”として扱われていたのを思い出しました。
また、5円玉は、“たむらしげる”さんが3歳の頃の記憶で
「5円玉の穴を通してみる向こうの世界は、現実の世界と違うようで
すごく不思議でした。」(月刊誌クーヨン 2003年9月号より)と語っていた
ことにつながっているようで、発見した時はうれしかったです。
この作品は’76年に、初めて出した絵本なんですね。