「こわがらないで。もう、がんじょうになってるから!」
このネズミの言葉・・・ゾウはどんな思いで受けっとったのだろう・・・。
「こわくなんかないよ。だいじょうぶ、あんしんしてわたれるさ!」
ゾウの答えた言葉。
この言葉を子供達に読み聞かせる時に、どんな風に読めば良いのか考えてしまいました。
死へと向かうゾウの発する言葉なんだから、きっと、ゆっくり、ぼそぼそとつぶやくように・・・と、思う所もありましたが、「!」が付いているではないですか・・・。
力強さも感じられる声だったのではないでしょうか。
それが伝わる様に、子供達へ読み聞かせをしてあげないと、死への思いが「恐いもの」「悲しいもの」「ツライもの」としかとらえられないのではないでしょうか。
死にゆく者を送る側と死にゆく者。
このどちらにもなり得る人生。
大人として読んで感じる感情。
子供が受け取る感情。
それぞれ違ったものが有るのは人生の年月の差であり、人生の経験の差。
でも、どんな年代であっても「死」と言うものを考えないといけなくなった時に、きっと心の手助けをしてくれる本だと思います。
『やさしいえみをうかべました。』
ネズミがゾウを見送った後の表情。
そうなりたいです。そんな表情を死にゆく者へ向けて上げたいです。
一番不安なのは死にゆく者なはずだから。
そして、死にゆく者が願う事は、残してしまった者が、幸せで、力強く生きて行って欲しいと言う事だろう・・・
「きみが、きっと手だすけをしてくれるとおもってたよ」
この言葉に、その思いを感じました。
この本の最後の見開きの絵。
この絵にとても大きな未来を感じました。
ここには、もうゾウの森も、つりばしも描かれていません。
次の未来へと進んでいるんだな・・・
そう思わずにはいられなくなり、涙も出てしまいました。
ずっとずっと、大切にしたいと思える絵本になりました。