私の娘は、雪が大好きなこどもでした。雪がめったに降らないエリアでしたが、朝目覚めてたまの雪降りだと気づくと、窓をガーッと全開にするのです。白い雪には、小躍りしたくなるような妖精でも見えるかのようでした。
この「ゆきのひ」キーツの絵本は、そんな気分を映し出していたのでしょう。大人の感覚でページを繰っても、「うぉ〜」『へぇ〜」と思わず感嘆するほど、絵の表現がすばらしいのですが、こどもはお構いなし。主人公ピーターの遊び方に興味津々でした。足あとをつけたり、ひきずってみたり、棒で線をひいたり、お決まりの雪だるまに挑戦したり・・・。絵の本を部屋の中で見て、読んでいるのですが、まるでこころ部屋にあらず。山となった雪のてっぺんから滑り降りるのを見るや、「えい!や〜!」とばかり布団の上から実践でした。
キーツの絵の本の凄さは、こどもをその絵の中に招き入れて、いっしょにあそび(こどもにとってみれば仮想現実かもしれませんね)、もりあがるところでしょうか。それはエンディングで待っています。しっかり「朝ごはん」でエネルギーを蓄え、となりのともだちと二人で、山なりにつもった雪の向こうに見える青空の元へ、背を向けて出かけていくシーン。まるで冒険への旅立ちでしょ?
絵の本の魔術師Jack Keatsさんに、脱帽です。感謝。