事務的にと殺処理をするのは、なかなか辛いものがあると思います。ましてや牛のように体の大きい動物を人間を使わずに処理するのは大変そうです。
だからこそ坂本さんのような仕事をされている方がいる訳ですが・・・
日々の心の中での葛藤はいかばかりかと、胸に迫るものがあります。
そんな中でやってきたみいちゃん。
家畜に名前を付けると辛いだけ。
研究動物に名前を付けてはいけない。
命を頂く時に辛くなるから・・・ そういう話を聞いたことがあります。
それでも名前を付けて可愛がるのは、ペットではなくても、日々世話をしてやる生き物に違いないからなのでしょう。
みいちゃんの命を解くことにためらいを抱いた父に、息子が「心のなか人がしたら、牛が苦しむけん。お父さんがしてやんなっせ」と言葉をかけます。
父の葛藤が尊敬に値するものだと感じ取った息子の言葉ではないかと思いました。
そして父にとっては救いの言葉になったのではないでしょうか。
「いのちをいただく」ということがどういうことなのか。
牛を育てる人達の心、牛の命を解く仕事の人の心と家族の気持ち、そして牛。
幾つかの観点から描かれている、深く考えさせられるお話です。