私は特別支援学級で介助員という仕事に就いています。
ダウン症のMちゃんが入学してきた時、私は少しでもMちゃんと仲良くなりたくて、色々な絵本を読んでみました。Mちゃんは、健常児と同じように勉強したり運動したりは出来ないけれど、人一倍頑張り屋で、あまのじゃくなところがあって、歌が大好きで、とてもとてもおちゃめな可愛い子でした。
図書室には何千冊もの本があって、何を読もうかいつも迷ったけれど、Mちゃんが4年生になると同時に特別支援学校に転校するまでに、一番リクエストが多かった本が、この「ぐりとぐら」でした。
でもMちゃんはわたしに「この本を読んで」とせがむ時、「ぐりとぐら」とは最後まで言いませんでした。きらきら目を輝かせて、「ぐにゃぐにゃ読んで」と本を両手で抱えて来ました。3年間、私もMちゃんの友達も、「ぐりとぐら」は「ぐにゃぐにゃ」として生きました。
今Mちゃんは支援学校で頑張っているけれど、誰かが「ぐりとぐら」を読んでいるのを見ると、「Mのすきなの食べること〜♪」と知らないうちに替え歌を作って口ずさんでいたMちゃんのことが思い出されます。
Mちゃんが、私や友達に笑顔を届けた時間です。心がポカポカした時間です。どうしてこの本がお気に入りなのか聞けないままですが、食いしん坊なMちゃんは、「ぐりとぐら」は、「私と同じ」と感じたのかも知れませんね。・・・・Mちゃん、元気かな?