バーナデットの絵に惹かれ、この本を手に取りました。
アメリカで、この季節になると、毎年目にしていたモミの木売り場の光景。売り場と言っても、山の中腹に広がる広大なモミの木の森。そこにあるのはすべて、クリスマス用に苗木から植えられた木々です。その中から、気に入った木を自分で選び、根元から切ってもらいます。
今までモミの木の立場になって、モミの木の気持ちを考えたことなど1度もなく、ただ単に「クリスマス商戦」の一環として、ツリーを見ていただけでした。
華やかに飾り付けられたモミの木。クリスマスツリーとして新たな息吹を注ぎ込まれ、人々の心を輝かせてくれます。でも、クリスマスが終わったあとは・・・?
「悲しいお話だった。」と、娘の心にもモミの木の寂しさが残ったようでした。果たしてモミの木が本当にしあわせな生涯を送ったのか・・・それは、何も語らないモミの木のみが知っていることなのでしょうね。
「ここにいることを、よろこびなさい。」
早く大きくなって、もっと広い世界を見てみたい、と願っていたモミの木に、お日さまが言った言葉ですが、私も若い頃には、モミの木と同じく、外へ外へと心が向いていました。
その後、数カ国で暮らし、いろいろな国を旅して、再び自分が生まれた場所へと戻ってきた今、お日さまの言葉が心の奥深くまで染み入っていくのを実感します。
私にとっての特別なクリスマス絵本。
これからもずっとここにいることに喜びを感じながら、モミの木のことを忘れないでいたいな、と思います。