絵本というのは、そのときどきの自分の気持ちが投影されていると感じることがあります。
これはまさにそう感じる一冊。
息子がこの本を読み終えて一番に言った言葉は「ネズミさんもいっしょに行ったらいいやん。」でした。ほんと、そうできたらいいのにね。
息子と娘も、このネズミさんのように、心もしっかり成長しますように。自分のことより、人の幸せを考えられる大人になりますように。心からそう願わずにはいられません。
私も、子どもがそっと手を離すそのときまで、このゾウさんのように、一番近くで見守っていけたらなと思います。そのときまで、このゾウさんとネズミさんのように、いつもわらってたのしいときをすごせたら、とても幸せです。
それ思うと同時に、ゾウさんは、ネズミさんに迷惑を掛ける前に、ゾウの国へ行きたかったのかなとも思いました。
今の世の中、医学が進歩し、人間の寿命が飛躍的に伸びています。でも、目も悪くなり、痴呆もはいってしまって、日々を楽しめないまま、施設で暮らしている義祖母を見ていると、また、その義祖母の介護をしている義母を見ていると、あまり幸せだとは思えません。いたずらに生を伸ばすことが、本当の幸せだとは言えない。
読み終えた後、ただ単純に感動したとは言えない複雑な心境でした。
でも、ところどころで、ゾウさんとネズミさんを見ていた黄色いトリさんが、ネズミさんと何だかお互い恥ずかしそうに出会うラストシーンには、心が温かくなりました。