インドネシアの大地震で波にさらわれたカバの赤ちゃんが新しいママを見つけるまでの実話が元になった絵本です。
作者の言葉は巻末にありますが、絵本の中は短い言葉と絵のみです。
その絵を追っていくだけで、カバの赤ちゃんの不安さ・心細さが伝わってきますし、無事救出された後そのカバの赤ちゃんが一体どこへ?と、すっかりカバの赤ちゃんに感情移入してしました。
そして、その後の幸せな出会い。人間はほとんど介在せず、言葉もほとんどなく、でもストーリーとして成立している。
人間同士が助け合い生きるというストーリーも心を打ちますが、それが動物同士であった場合は人間同士に生まれたドラマよりもさらに心を打つのはどうしてでしょう?
優れた文学作品や児童書を読み終わった時に感じる「この世の中は生きるに値する」という人って捨てたものではないなあという気持ち。
その気持ちが動物にもあったという思いがけなさにあるのかもしれません。
カバの赤ちゃんが助かってよかったと思うと同時に「この世の中は生きるに値する」という言葉が絵本を読んだ後浮かんできました。