数年前、『ひ・み・つ』が出版された時、作者のたばたせいいちさんの講演会がありました。
その時、この作品は民話のききみみずきんがモチーフになっており、
是非この民話を子ども達にも知ってもらいたくて、とお話になっていました。
ということで、気になっていた民話でしたが、読みそびれていた次第。
しっかりとした再話バージョンで読みたかったので、
木下順二さんの今作を選んでみました。
百姓の藤六は、荷物運びの仕事もしています。
ある日、仕事に行こうとしていた藤六は、病床の母より、父の形見の頭巾をもらいます。
ところが、道中、この頭巾の不思議な力に気付くのです。
動物達の会話がわかる、ということで、長者の娘の病気の治し方も判明して・・。
藤六の清々しい青年像が素敵です。
解決策は、意外にも大掛かりな展開に。
でも、民話らしい、百姓の生活に根付いた展開ですね。
戯曲作家でもある木下順二さんの文章は、起伏に富んでいて、
ドラマチックでもあります。
絵も素朴で、気に入りました。