日本の話芸といえば落語を思い出す人も多いと思います。
なので、落語の噺を題材にした「落語えほん」もたくさん出ています。
落語は今でも人気が高いですし、若い落語家も続々と登場しています。
スポーツの世界でもそうだし、芸能の世界でもそうですが、才能がある若い人が出てくるとその世界は活況を帯びてきます。
今、講談の世界がそうです。
神田松之丞という若き講談師の登場によって、若い人も講談の世界に魅了されています。
そして、神田松之丞さんが監修してできた絵本が「講談えほん」。
その表紙見返しに松之丞さんが「講談とは、古くからの日本の伝統芸能」で「この絵本を通じて、一人でも多くの子どもたちに講談を知ってもらえることを願っています」と書いています。
講談は実在の人物や史実とされる話を脚色しながら話す話芸です。
ここでは宮本武蔵という剣豪が山田真龍軒という鎖鎌の名手と闘う話が絵本の題材になっています。
文は石崎洋司さん、そして絵は飯野和好さん。
なんといっても飯野さんの絵がいい。
山田真龍軒が使う鎖鎌の分銅が「ぶんぶんぶんぶん!」とうなりをあげている絵など、思わず笑えてくる。
そして追い込まれた宮本武蔵の必死の形相。
おそらく自身が一番楽しんでいるのを感じる。
何よりも飯野さんの描くアングルが素敵だ。
闘いを終えて立ち去る武蔵を空の方から描いた場面など最高ではないか。
講談は釈台を張り扇で叩きながらテンポよく語られる。
読み聞かせでもぜひ「パンパン」とやってもらいたい。