副題にリトワニア民話とあります。
内田莉莎子さんの再話ですから、滋味深いです。
ちいさなあくま、という題名に少しひるみましたが、
表紙絵を見て、茶目っ気ある男の子のようで安心安心。
貧乏な木こりが、パンのかけらだけのお弁当を持参して働いていると、
面白いことを探していた、ちいさなあくまがそれを盗むのですね。
得意顔のちいさなあくまは、意外にもおおきなあくまたちに怒られ、
返しに行くのです。
このおおきなあくまたちの諭し方がお見事です。
貧しい者から盗むことの愚かさ、お詫びに役に立つことをして来い、とパーフェクトな回答。
もちろん、木こりは即座に許しますが、どうしても役に立つことをさせてほしい、
とのことで、ここからが面白いです。
欲張りな地主との知恵比べの様相ですが、見事に大団円。
やはり、爽快です。
堀内誠一さんの絵も味わいがあって、民話の雰囲気が伝わってきます。