2008年刊行。いろいろな時代の作品から、ハッピーエンドにならない苦しい恋の話を集めた短編集。
・「平原の美女タニス」 L.M.モンゴメリ ※
・「地球が沈んで宵の明星が輝く」 アイザック・アシモフ
・「歌の名人オルフェウス」 ギリシャ神話(山室静・訳)
・「世界の始まり」 古事記(神野志隆光・文)
・「白い石のカヌー」 アメリカ昔話(渡辺茂男・訳)
・「思いがけぬ再開」 ヘーベル
・「爪楊枝」 ジェイムズ・ホールディング
・「処女と猛牛」 ピーター・ラヴゼイ
編集者の守備範囲の広大さに驚愕。
人類始まってすぐの苦い恋:イザナギ&イザナミ〜現代ミステリまで、いろいろな愛の話が楽しめる。
恋愛が上手くいかないのは、話としては非常に面白くなる。
身分や立場が違うことで悲劇になる話は、生まれた瞬間からどうにもならない問題で、重い。
しっかり愛し合っていても、幸せは永遠に続くものではない。また、愛し合っていた心が離れていく残酷さも。恋愛がらみで殺人までおきてしまう。
自分の体験での恋愛はお粗末なものであるが、物語を通じて他人の恋愛模様を覗き見するのは面白い。
現実では起こりっこないような奇抜な設定や、身分違い、推理ものや大冒険など、盛りだくさんだ。
読み応えのある話ばかりなので、大人も充分たのしめる。
※「赤毛のアン」の作者。日本語訳は村岡花子。昔風の言葉遣いが素敵だ。濃厚な愛の闘いを上品な日本語で楽しめる。